「どもども、会長の桜井 健吾です。 よろしくなー」

「こちらこそよろしくお願いしますっ」



ニコッと笑う桜井先輩と同じように、倉本くんも笑う。

そのあと、桜井先輩が郁也先輩へと視線を向けた。

それにつられるように、倉本くんも郁也先輩を見る。



「で、こっちが二年の神代 郁也。 取っ付きにくい感じに見えるかもしれないけど、普通に良い奴だから仲良くしてやってな」

「神代先輩、よろしくお願いしますっ」



フレンドリーに挨拶をする倉本くんに対し、郁也先輩は僅かに微笑んで頭を下げるだけに留まった。



「桜井ー。 蒼葉に同好会の活動内容を話したいんだけど、全部 私が言って大丈夫?」

「ん? あぁアレのことでしょ? いいよ、樫村の知り合いなら信頼出来るから」

「ありがと」



アレのこと…ってなんだろう?

って一瞬思ったけど、すぐに「サイトのことか」と思い当たる。

先輩がサイトの管理人をやってるっていうのは、周りには秘密だ。

……まぁ、私は話の流れでサラッと聞いてしまったけど……。


その秘密のことを、倉本くんにも話すんだ。

……大丈夫かな。

梨乃先輩の昔馴染みだから、信頼は出来るんだろうけど……それでもやっぱり私はまだ警戒してしまう。


クラスメートにポロッと言ったらどうしよう。

SNSに書き込んだりしない?

本当に大丈夫?

という不安が、頭の中でグルグルと巡っていく。


けど……、



「えっ!! 桜井先輩ってあのサイトの管理人っ!? ってことはジェイド様っ!?」



……目をキラッキラに輝かせながら 頬を紅潮させる倉本くんを見たら、なんとなく…大丈夫そうな気がした。