ニコッと笑った梨乃先輩を見て、郁也先輩はどこか困った顔で微笑んだ。
「俺の答えは、以前と変わりませんよ?」
「うん、それを理解した上で言ってるから大丈夫。 あ、でも同好会に所属してる間はちゃんと同好会の活動を優先して動くから心配しないでっ。 と言いつつー、今日はフリーの日だからガンガン攻めるっ。 アタックし続けるっ。 よしっ、神代くん今からデートしようっ」
「えぇ……その強引さが、既に桜井先輩じみてる気がするんですけど」
「桜井ほど狂気じみてないから大丈夫でしょ。 ということでっ、二時間くらい別行動にしようっ。 桜井、めいちゃんに変なことしちゃダメだからね? めいちゃん、桜井に何かされそうになったら迷わず通報でいいからねっ? じゃ、二時間後に、駅に集合ってことでよろしくーっ」
バーッと喋った梨乃先輩が、郁也先輩の背中を押しながら歩き出す。
その郁也先輩は、相変わらず困ったような顔だったけど……それでもやっぱり微笑んでいた。
「桜井先輩、芽衣子さん、またあとでっ」
そう言ったあと、郁也先輩は梨乃先輩と一緒に混雑するエリアへと消えていった。
「……ったく、行動力の塊かよ」
呆れた顔の桜井先輩が隣に座る。
そのまま、右手に持ってるジュースのカップを私に差し出した。
「ごめん、左のはもう口つけちゃったから こっち飲んで。 中身はオレンジジュースなんだけど、大丈夫だった?」
「わ、ありがとうございます。 オレンジ大好きですっ」
「そりゃ良かった。 で、樫村はやっぱり神代が好きで、更にはもう告白して振られてたんだ?」
「そうらしいです。 去年の夏に告白したけど、でも「そういう対象として見ることは出来ない」って振られたって言ってました」
「そうなんだ。 それでもいまだに好きで、アタックし続けるって宣言したわけか」
「はい。 物凄い行動力ですよね」
いつも行動力があるけど、今日は抜群に凄かった。
というか、間髪入れずに動いて 断る隙を与えなかった…って言った方がいいかもしれない。



