「ていうか俺は、生きてる人とじゃなくて幽霊さんとの愛を育みたい」
「出た、変態発言」
「どこが変態なんだよ。 至って普通の発言じゃん」
「それを普通と思ってる時点で、かなりヤバい人ですよ」
なんてことを話してる時に、購買に行ってた二人が戻ってきた。
「なになに、なんの話?」
「桜井先輩がヤバいって話です」
「なんだ、そんなのいつものことじゃん。 どうせ幽霊と結婚したいとかそれ系の話でしょ?」
「よくわかりましたね。まさに そんな系の話です」
「やっぱり。 隙あらばそういう話ばっかりしてる馬鹿だもんね」
……戻ってきてすぐなのに、辛辣だなぁ。
つーか、樫村とは常にこういう感じなのに、神代はそれを見て「良い雰囲気」と思ってるのか?
それはそれでヤバいな……。
「ねぇねぇそんなことよりもさ、週末にどこ行くか決めようよ。 ていうか、私たちが居ない間にもう行き先 決めちゃった?」
「あー、まだ全然何も決めてないですね。 雑談してただけなので」
「そっか、よかった。 購買行く時にめいちゃんと話してたんだけど、県北の方だと ちょうど週末に桜が満開っぽいんだよね。 だから今回は、めいちゃんの入会おめでとう旅行ってことで、普通に観光しない?」
あぁなるほど、確かにそれはいい考えだ。
諏訪ちゃんはまだ少なからず元クラスメートのことを引きずってるだろうし、その状態で心霊スポットに連れて行ったら うっかり“何か”に魅入られてしまうかもしれない。
記念すべき四人での初旅行なんだから、ただただ普通に楽しく旅をしよう。
うん。 そういうのも新鮮でいいかもしれない。



