「……ハァ。 オーケー、何もしないから心配すんな。 ていうかその笑顔怖いからやめてくれっ」
「全然普通に笑ってるだけですけど? まぁでも、ご理解頂きありがとうございます。 ところで先輩の方はどうなんですか?」
「ん? 何が?」
「樫村先輩との関係。 良い雰囲気の時も多いように見えますけど、お二人は付き合わないんですか?」
「あー、俺と樫村はそういうのじゃないよ。 良い友人ではあるけどね」
「へぇ。 結構、お似合いに見えるのに」
と思ってるのは神代だけで、俺と樫村は全くそういう風には思っていない。
そりゃあ、仲は良いけどね。
でもそれは恋とか愛とかって感情ではない。
そもそも樫村が好きなのは 神代なんじゃないか? って思ってる。
神代が入会するまで、樫村は同好会には ほとんど顔を出していなかった。
なのに、入会が決まってからは結構な頻度で顔を出している。
前は泊まりがけなんて一切来なかったけど、今じゃ参加しまくりだ。
男二人に女一人というアンバランスな状態なのに、普通に来る。
で、心霊スポットでは「幽霊が見える神代くんと一緒の方が安心出来るから」と二人で行動することも多い。
……どっからどう見ても神代狙いだし、露骨に態度を変えすぎだろうがっ。 と突っ込みたくなるくらいだ。
まぁ、以前の樫村を知らない神代からすれば、仲良く話してる俺たちを見れば「良い雰囲気なのかも」って思うのかもしれないけど。
でも実際は違う。
俺は樫村のことをなんとも思ってないし、樫村も俺のことはなんとも思っていない。
いや、ウザいっては思われてるかも……。
まぁとにかく。
俺と樫村は良い友人ではあるけれど、それだけだ。



