「私、三年の樫村(かしむら) 梨乃(りの)っ。 あなたのお名前はっ?」

「え、えっと……諏訪(すわ) 芽衣子(めいこ)…です」

「めいちゃん、よろしくねっ。 私のことは梨乃でいいよーっ。 さっ、座って座ってーっ。 お菓子食べるっ? ほら、飲み物も色々あるよっ。 買い置きしてたやつだから常温だけど、好きなの選んでねっ」



……樫村先輩…ううん梨乃先輩は、桜井先輩に負けず劣らずの強引さで、私を椅子に座らせた。

目の前の机にはズラッとお菓子の袋が並べられ、ペットボトルのお茶やジュースもたくさん並べられた。

なんか……ますます帰りにくくなってしまった……。



「桜井、女の子を連れてくるなんて超ナイスっ」

「まぁ無理矢理に連れて来ちゃったんだけどねー」

「……えっ、無理矢理っ!?」


「ウチのポスター見てたから、興味あるのかなぁって思って。 だから無理矢理 連れて来ちゃった。 てへっ」

「……「てへっ」じゃないでしょうがっ、この馬鹿っ!!」



梨乃先輩はバシッと桜井先輩の頭を叩いたあと、深々〜と頭を下げた。



「桜井が馬鹿でアホでごめんっ!! ていうか私も無理矢理に座らせちゃってごめんっ!!」

「い、いえ……」

「あぁでもっ、もしちょっとでも興味があるのなら このまま一緒に活動しないっ? 同好会のメンバーは今は三人だけで、女子は私一人なのっ。 もうほんとっ、念願の女の子なのっ。 だからこのまま残ってもらえたら嬉しいですっ!!」



……結局、強引だ。

でも……少し惹かれてしまう。

というか、私のことを必要だと思ってくれてるのが嬉しいんだ。