「……まったくもう。 そういう馬鹿話は男二人の時にやってよね」
深く息を吐いた梨乃先輩も、すっかり毒気を抜かれたようだ。
私を見つめながら、今度は含みのない柔らかな笑顔を見せた。
「めいちゃん、話してくれてありがとね。 それとさ、これからも色んなことガンガン言ってくれて大丈夫だからね。 良いことも悪いことも、馬鹿みたいな話でも。 言いたいことをなんでも自由に言ってくれた方が私たちも嬉しいよ」
「……はい。 ありがとうございます」
「で、本当に殺さなくて大丈夫? ネットで話題になってる今なら殺すのは容易いよ? ほんっとうにやらなくていい?」
「そ、それは本当にやらないでくださいっ。 ……アイツらに対する嫌な気持ちは、もちろん残ってます。 むしろ呪えるのなら私が呪いたいくらいです。 でも私は、今は先輩たちとの時間を大切にしたい。 アイツらの話で盛り上がるよりも、もっと別のことを……色々な話を、みんなでしていきたいです」
過去は変わらないし、消し去ることだって出来ない。
だったら私は、まだ知らない未来のことを考えていきたい。
先輩たちとの時間を紡いでいきたいんだ。
「……ということで、別のことを話しましょうっ。 週末の予定を新たに立てていきましょうっ。 と、その前に、購買に行ってきてもいいですか? なんか冷たい物が飲みたくなったのでっ」
「あ、私も行くっ。 スカッとしたい気分だから炭酸飲みたいっ」
「はいっ、一緒に行きましょうっ」
と明るく笑うけど、空元気…に、見えたかな?
実際、いつもよりもテンション高めだという自覚もあるし……。
でも先輩たちはそれを気にする素振りは見せず、普段と同じように接してくれている。
それがとても ありがたい。
「じゃあ、行ってきますっ」
「おー、いってらー」
ひらひらと手を振る桜井先輩と、小さく手を上げて応える郁也先輩。
そして、私の手を引いて笑う梨乃先輩。
三人の変わらない様子に 私も笑顔を見せながら、梨乃先輩と一緒に空き教室を出た。



