平気な顔をしてるのは 余裕でトンネルに入っていった梨乃先輩と、俺たちの近くに立ちながらトンネルの方をジッと見ている神代先輩くらいだ。
その神代先輩が、静かに言う。
「危ないモノは居ないから大丈夫。 ただ、こっちの様子を窺ってる人たちは居るからあまり騒ぎすぎないようにね」
うわぁ……「居る」のは確定らしい。
しかも人“たち”って複数形かよ。
とりあえず、危ないモノじゃないだけマシ…と思っとこう……。
──それから更に数分が経ち、トンネルの奥から桜井先輩たちが戻ってきた。
梨乃先輩は相変わらず余裕そうな顔で、桜井先輩と桐生は少し疲れた顔だ。
そして俺たちの近くまで戻ってきたあとは、ホッとしたような顔を見せた。
「梨乃先輩、何か反応はありました?」
「ラップ音とかは全然っ。 あ、でも写真にはモヤっぽいのが写ったよ」
「へぇ、桜井先輩が一緒の時に写るのは珍しいですね」
「うんうん、それは私も思った。 あ、見てみる? ほら、これだよ」
と言いながら、二人は熱心に写真を見始める。
その間に桐生は他のみんなの元へ駆け出し……その勢いのまま、住吉と諏訪に抱きついた。
「メッチャ怖かったぁー……。 中はすっごいひんやりしてて、ずーっと鳥肌が立ってて、ほんっとにヤバかったよー……」
「お疲れ様っ。 でもそこは龍泉寺くんに抱きつくところじゃない?」
「……そ、そんなの出来るわけないよっ……!!」
と桐生は顔を真っ赤にしてるけど、一方の透は……なんとなく残念そうな微笑みだ。
ていうか透の奴、抱きしめる気満々で手を広げてたよな。
桐生が飛び込んだ先が住吉と諏訪のところだったからすぐにサッと手を引っ込めてたけど。
女子たちは気づいてないっぽいが、俺と蒼葉はバッチリとそれを見ていた。
だから俺と蒼葉はそれぞれに透の背中をポンポンと叩いて慰め、それに対する透はただただ苦笑いを浮かべるだけだった。



