……そうなのか?
それはそれで意外だ。
「ということで穂乃果ちゃん。 桜井と同じ班は大変だと思うけど、私が一緒だから安心してねっ。 二人で力を合わせて頑張ろうっ」
「うぅ……梨乃先輩、頼りにしてますっ……」
カタカタと小さく震えてる桐生の手を力強く握る梨乃先輩。
そんな二人を見る桜井先輩は、苦笑気味に笑っている。
「そりゃ怖がりは怖がりだけど、俺も一緒に頑張らせて?」
「とか言いながら、ラップ音がしたら一人でソッコー逃げそう」
「逃げない逃げない。 ちゃんと守るから大丈夫だよ。 つーことで、早速 潜るかー」
と言った桜井先輩は、梨乃先輩と桐生、それぞれと手を繋いだ。
「うわ、ちゃっかり真ん中に入ってるし。 まだ昼間だし、さすがにちょっと怖がりすぎじゃない?」
「昼間だけどトンネルの中は薄暗いじゃん。 それに端っこ怖いし。 あ、龍泉寺っ、今だけ彼女ちゃんの手ぇ握るけどごめんなっ。 メッチャ怖いことが起きても抱きつかないようにはするからっ。 それと神代っ、樫村には抱きつくかもしれないけど許せっ」
「 私の扱い、微妙に雑じゃない? まぁいいけど……。 とりあえずトンネルの出口まで行ってー、向こうからこっちに戻ってきたら次の班に交代…ってことでオッケー?」
「オッケーオッケー、それで行こう」
「よしっ、じゃあみんな行ってくるねー」
余裕な表情の梨乃先輩と、左右に居る女子二人の手をガッチリと握りながら神妙な面持ちの桜井先輩、そして今にも泣き出しそうな顔の桐生の組がスタートする。



