「ほらほら、クジ引いてー」
と促され、渋々クジを引く。
クジの紐の先は、赤、青、黄と色分けされている。
同じ色を引いた者同士が同じ班、ということらしい。
赤の班は、桜井先輩と梨乃先輩と桐生。
青の班は、透と蒼葉と住吉。
黄の班は、神代先輩と諏訪、そして俺。
……いやいや待て待て、同じ班に神代先輩と諏訪ってヤバくない?
だって二人とも幽霊が見えるじゃん。
その二人がもしも“何か”に反応したら、確実に「居る」ってことだよな?
えぇ……それって怖すぎない……?
「お、如月よかったな、大当たりじゃん」
と言った桜井先輩は、かなり羨ましそうに俺を見ている。
大当たりじゃなくて大ハズレだと思うんだが……。
「……見える二人と一緒って怖すぎてヤバいんですけど……」
「え、そう? 見えてる奴と一緒の方が怖さ自体は減るんじゃない? だって“何か”が起きた時、その原因がすぐにわかるってことだろ? 何も見えないと全部が全部怖いもん」
「あー……そう考えれば、確かにそうかも……? ていうか先輩も怖いとかって思うんですね。 いっつも幽霊のことになると目をキラキラさせてるから、そういう感情はないと思ってました」
幽霊の話をする桜井先輩はいつだって楽しそうだし、戦隊ヒーローを見る子供みたいに目を輝かせている。
だから そんな先輩から「怖い」という言葉が出るのは意外だったし、他の一年生もみんな俺の言葉に頷いている。
ただ、付き合いの長い梨乃先輩と神代先輩は違う思いを持ってるらしい。
「桜井って、どっちかと言えば怖がりだよねぇ」
「ですね。 俺が一緒の時はわりとガンガン攻めるけど、一人の時はずっとビクビクしてる気がする」
「うんうん、不意の物音に人一倍 反応して、一人で騒いだりとかが多いかも」



