「だってー、二人が一緒に帰ってきたのを見てメチャクチャ期待したのよ? お互いの名前はあえて伝えていなかったのに、偶然に…ううん運命的に出会ったわけでしょうっ? それを見て「結婚を前提にお付き合いしたいです」って言いに来たのかと思ったのっ。 なのに全っ然違ったから、実はすっごくガッカリしたのよっ」

「……」

「だからね、私がキューピッドになるから二人はどんどん仲を深めていきなさいっ。 まずはお互いを名前で呼び合う、基本中の基本からスタートしましょうっ」

「……ちょっと何言ってるのか わからない……」



確かに、同好会で神代先輩と出会ったのは運命的…だったかもしれない。

けど、それを言ったら超有名なサイトの管理人をやってる桜井先輩との出会いだって運命的だ。

私のことを理解してくれる梨乃先輩との出会いも、私にとってはかなりの幸運だし……それも運命的だと言える。


そりゃあ おばあちゃんからすれば、昔馴染みの孫と自分の孫が仲良くするのは嬉しいことなんだろうけど……。

ていうか、「お互いの名前はあえて伝えていなかったのに」って言った?

なるほど、だから私は先輩の名前を知らなかったし、先輩も私の名前を知らなかったんだ。

まったくもう……考え方が斜め上すぎるよ……。



「……ふふっ。 やっぱり恵美子さんは面白いなぁ」



と、神代先輩が笑う。

正直、全然 面白さはないと思うんだけど……。

なんて思っていた私に、先輩が視線を向けてきた。