と喋り出した二人の話を、他のメンバーも興味津々で聞いている。

ただ一人、如月くんを除いては…だけどね。



「……ハァ。 合宿最大の山場だなぁ……」



と心底嫌そうな顔だ。

そんな如月くんに、小さな声で話しかける。



「如月くん、そんなに心配しなくて大丈夫だよ。 確かに同好会の先輩は“何か”を感じたみたいだけど、智樹さんは何も言ってなかったでしょ? だから多分、危険はないよ」

「……だといいけど。 とりあえず、“何か”があっても無茶なことはすんなよ?」

「うん、わかってる」



一人で無茶はしない。

もしも“何か”が起きたらみんなに相談して、危険な場合はすぐ逃げる。

自分一人でなんとかしようとはしない。

もう、そう決めている。



「よし。 諏訪が一人でフラフラしないように俺が特別に手を繋いでてやろうっ」

「……とか言って、自分が怖いから手を繋いでおきたいんでしょ?」

「いやいやいや、そんなこと…あるけどさ。 でもほら、俺 走るの得意だし。 逃げる時は俺が諏訪を引っ張っていくから、メッチャ早く逃げられるよ?」


「足がもつれて転びそう……」

「その時はその時っつーことで」



なんてことを言いながら、如月くんは楽しそうに笑っている。

と、その時、沙綾ちゃんが会話に交ざってきた。



「ちょっとちょっとー。 手を繋いで歩くって、芽衣子と如月くんってば いつの間にかラブな関係っ?」

「んにゃ、全然。 もうこの際 住吉でもいいや。 肝試しマジで怖いからさぁ、俺と手を繋いで歩いてくれない?」

「あ、そういう話か。 それは芽衣子に任せるっ」



……って、任されても困るんだけどなぁ……。

チラリと横を見ると、如月くんは何故かドヤ顔だ。



「むしろ俺に任せとけ」



と言われても、逆に不安しかないけどね……。