「……俺さぁ、普通の友達っていうのは実はあんまり居ないんだよね」
「あぁ……幽霊と結婚したいとか言ってる変人ですしね」
「うるさい。 まぁとにかく、智樹先輩は唯一無二と言っていいくらいの普通の友達なんだ。 なのに突然「見える人」っていうのを知って……なんか、ショックだったんだよな」
桜井先輩は、ハァ……と深く息を吐いたあと、静かに静かに話し始めた。
「……「長い付き合いなのになんで言ってくれなかったんだ?」 っていうのがまず頭に浮かんだ。でも「人には言えない、言いたくないこともあるよな」って思いながら、自分を落ち着かせようとした。 だけど「それでも言って欲しかった」って強く強く思ったし、「俺より先に倉本に話すってなんだよ」ってガキみたいに嫉妬もした。 他にも、多分色々…自分でもわかんないような感情がいっぱい重なって、グチャグチャになって、そういう状態のまま先輩に暴言を吐いた…ような気がする。 正直、あんまり覚えてないけどさ……」
「なるほど。 それでヘコんだ様子だったんですね」
「……あー、それはまたちょっと違う。 先輩は、グチャグチャになってる俺の気持ちを理解してくれてると思うから……あとで謝れば多分 大丈夫。 大丈夫じゃなかったら、そこでまたヘコむだろうけど……」
「? じゃあ今はどうしてヘコんでるんですか?」
「……諏訪ちゃんに酷い態度を取ったから」
「え?」
芽衣子さんに?
どういうことだ?
「……倉本からのメッセに、女性の幽霊さんのことが書かれてただろ?」
「同じ班の男子が取り憑かれた、ってやつですね。 それを佐藤さんに助けてもらった、と」
「そう、それ。 で、その時のことを少し聞いたんだけど……先輩は男子生徒に憑いてた幽霊さんを自分に引きつけたんだって。 ほら、お前もそういうの出来るだろ? なんか、目を合わせることで幽霊さんの意識を自分に向けさせる、みたいな。 先輩も多分そういう感じのことをしたんだと思う」
「……あぁ、もうそれ聞いただけでわかりました。 芽衣子さんも同じことをやろうとしたんですね」
「うん」



