桜井先輩が一年生の時に、三年生の佐藤 智樹さんと知り合った。
そして二人は今でも定期的にやり取りを交わす仲。
俺や樫村先輩に紹介がなかったのは……その人が「普通の友達」だから。
ただ普通にお喋りをして、冗談を言い合って、笑い合う。
そういうごくごく普通の友達だから、同好会のメンバーに わざわざ紹介はしなかった。 ということだと思う。
だけど、そうなると……、
「……桜井先輩は、親しい間柄である佐藤 智樹さんが“こっち側”だということを 今日初めて知ったんですね」
倉本からのメッセージを見てパニックになった。 というのは、それが原因だろう。
普段の桜井先輩なら「幽霊が出た」と聞いたら大興奮でバカ丸出しになるけれど、今回は違う。
いつもなら真っ先に俺のところに駆けてきて、大興奮のまま色々な話をして、次のメッセージが届くのをワクワクしながら待つはずだ。
新たに「幽霊が見える人」が出現したなら尚更に。
だけど今回、授業中にも関わらずに学校を飛び出した理由は……ワクワクから来たものではない。
芽衣子さんや倉本が幽霊絡みで怪我をした、事故に遭った、とかなら まだ飛び出す理由にはなるけどね。
でも今回の件は、施設のスタッフさんのおかげで一年生たちは全員無事だ。
幽霊が見える人と交流が持てるかも! と興奮することはあっても、パニックを起こすことはない。
幽霊が出たということに興奮するよりも、衝撃的なことがあった。 だから先輩はパニックに陥った。
と思い至ったんだけど……当たっているだろうか?
「……神代って怖い。 意味不明なこと言ってる自覚があるのに、なんでわかるんだよ……」
「まぁ、なんとなく。 ちなみにその人は二学年上の先輩で合ってますか?」
「……うん、合ってる。 智樹先輩とは、樫村がまだ全然 同好会に来なかった時期に知り合ったんだ」
ゆっくりと体を起こした桜井先輩は、背もたれに体を預けながら天井を見つめている。
その隣に、俺も腰かけた。



