【 神代 郁也side 】
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芽衣子さんと倉本が合宿に行った日。 の、夕方。
「……桜井先輩、ここに居たんですか」
「あー……神代…おかえり」
桜井先輩が午後の授業の途中で突然 早退を宣言し、その後 音信不通になった。 ということを樫村先輩から聞いたのは、放課後に空き教室へと行った時だった。
それから何度も電話やメッセージを送ったけど、まったく反応はなくて。
だから樫村先輩と二人で話し合い、「ひとまず今日の同好会の活動は休止にしよう」「一年生たちにもこっちの状況は内緒にしておこう」ということになり……いつもよりもだいぶ早く家に帰ってきた。
そしてそこで見つけたのが、玄関の前で体育座りをする桜井先輩の姿だった。
……あまり、元気はなさそうだ。
「いつから居たんですか?」
「ついさっき。 そろそろ帰ってくるかなぁって思ってさ」
「それまではどこに?」
「適当にフラフラと」
「芽衣子さんたちのところへ行ったわけではなくて?」
「んー……途中までは行ったけどね。 でも、俺が行ったところで何も出来ないし。 逆に一年生たちに迷惑かけちゃうからさ」
力なく笑う先輩は、そのあとによろよろと立ち上がった。
「少し休みたいから、入ってもいい?」
「もちろん。 色々聞きたいこともあるんで、ここで追い返したりはしないですよ」
「うん」
玄関の鍵を開け、桜井先輩を招き入れる。
その先輩は、ハァ……と深く息を吐いたあと、うなだれたままトボトボと廊下を進み……そしてそのままリビングにあるソファーへと倒れ込んだ。
うつ伏せの状態で、クッションに顔を埋めている。
「先輩。 何があったのか話せます?」
「……かくかくしかじかで」
「それでわかったら苦労はしませんて」
まったく……。
「かくかくしかじか」で話が通じるなんて漫画の世界くらいだろ。
まぁ、こんなに元気がないのは久しぶりに見たから「何かやらかした」っていうのは想像出来るけど。



