「あれ? アイツ電話切ったの? ……あー諏訪ちゃん諏訪ちゃん、ひとまず座ろうか。 な? それと、如月くんも」



呆然と立ち尽くす私を促し、隣に座らせる。

如月くんもすぐ近くへと腰を下ろした。



「えーっと、まずは俺と桜井の関係を話そうか。 俺が高校のOBだってことはもう如月くんに聞いた?」



という問いかけに、コクンと頷く。

それを見た智樹さんは、微笑みを浮かべたあと ゆっくりと話の続きをし始めた。



「如月くんと話してた時には言わなかったけど、俺は今の三年生たちの二個上の学年なんだ。 三年の春に「一年男子が面白い同好会を立ち上げたらしい」っていう噂を聞いて、それで空き教室に行ってみた。 そこで幽霊大好きオタクの桜井と知り合ったんだよ」



……そうだったんだ。

そういえば心霊現象 研究同好会は桜井先輩が立ち上げたって言ってたっけ。

人数合わせのために梨乃先輩を同好会のメンバーに加えたけれど、二人で活動することはほとんどなくて……一年生の時は桜井先輩がほぼ一人で活動していた。 と聞いたことを覚えてる。

梨乃先輩が本格的に活動に参加するようになったのは、郁也先輩が加入したあとだ。


……だから、一年生の頃の桜井先輩はずっと一人で作業してたのかな。 って思ってた。

でも、実際は違うみたい。



「桜井はとにかく人懐っこくて、面白くて、良い奴で。 幽霊の話をする時はテンションぶっ壊れててヤバいけど、まぁでも…そこがまたアイツの魅力だよなー、なんてことも思ったり。 俺とアイツは二学年違うけど、それでも良い友達だって今でも思ってるよ」



と、穏やかに言ったけれど……。

そのあとの智樹さんは、どこか申し訳なさそうに視線を落とした。



「良い友達で、信頼も出来るのにさ。 それでも俺は…桜井に自分の体質のことは今日の今日まで伝えていなかった。 伝える勇気が無かったんだ」