『倉本から連絡が来てっ…まさかと思って智樹先輩に電話したら諏訪ちゃんが危ないことしようとしてたって聞いてっ……!! もうほんとっ、何やってんだよっ!!』

「……し、心配かけてごめんなさいっ。 でも私は無事なのでっ……」

『「終わり良ければ全て良し」ってかっ!? んなわけあるかっ!!』


「……すみません……」



いつもの桜井先輩と違う。

本気で心配して…本気で怒ってる声だ。



『なんで誰にも言わずに一人で危ないことをするんだよっ!? 他人を守る前にっ!! まずは自分のことをもっと大事にしなきゃダメだろうっ!?』

「……はい……」

『ほんっとにわかってるっ!? 大怪我する可能性だってあったし、最悪死ぬ可能性だってあったんだからなっ!?』


「……わかってます。 本当に、ごめんなさい……」



謝る以外の言葉は見つからない。

たとえ適切な言葉が見つかったとしても、きっと言い訳のように聞こえてしまうし……私自身も、言い訳として言ってしまいそうだったから。

だから今は、誠心誠意…謝るしかない。






『………………ハァ………………』



長い長い沈黙のあとに、短いため息が届く。

桜井先輩は、今度はゆっくりと言葉を繋げていった。



『諏訪ちゃん。 友達を思って行動するのはとても立派なことだけど、それは自分自身を蔑ろにしてもいいってことではないよ? きちんと自分が無事で居ることが前提で、その前提の上に立って初めて人を助けられるんだ』

「……はい……」

『……もうこれ以上は心配させないで』


「あっ……」



電話が、切れた。

一方的に切られてしまった。

先輩の声は……もう聞こえない。