「……本当にごめん」



ピタリと足を止めた私と同じように、如月くんも足を止める。

そのあと彼は……いつもと同じように明るい笑顔を見せた。



「そんなに深刻そうな顔すんなって。 そもそも俺自身も半信半疑だって言っただろ? 友達として好きなのか恋愛対象として好きなのかわかんない状態だから、じゃあ告白してみるかーって思って告白したんだよ。 成功したらラッキーだなぁくらいの気持ちでさ。 むしろ俺の方がごめんだろ」

「……」

「あーもうほらっ、元気出せって。 つーか「友達としては好き」なんだよな? だったらそれでいい。 それ以下にならないのなら全っ然いいよ。 ……以下になってないよな?」


「……多分、大丈夫」

「多分かよっ」



と、いつもみたいなやり取りをして、二人で笑う。

まだ、ぎこちないけどね……。


それでもお互いに笑顔だ。

友達として。

仲間として。

それ以上でも以下でもない。



「……ありがとう、如月くん。 ごめんね」

「だから謝るなって。 言っとくけど、俺自身が「本気で好きだ」って思えた時はマジでアタックかけるからな? 覚悟しとけよ?」

「今のうちに謝っておきます、ごめんなさい」


「謝んの早いっ。 俺様キャラっぽく渾身のキメ顔 披露したんだから、少しくらいはドキッとしろよー……」



ハァ。 と息を吐いたあと、如月くんが真っ直ぐに私を見る。

穏やかに、安心したように。



「よし、元気出たな? 深刻そうな顔してると すーぐ住吉が気づくから、マジで元気出してけよ? まぁ空元気は空元気ですぐバレるから、程々にな」

「うん、もう大丈夫だよ」

「オッケー、じゃあ気を取り直して、智樹さんのところに行くかっ」

「うんっ」



お互いに笑顔で、再び歩き出す。


友達として。

きっとこの先もずっと変わらない、その距離のままで……。