廊下でみんなと会えたらラッキーだし、もし会えなかったらそのまま自習室に向かう。
そこに居たらみんなで話せばいいし、居なかったら……今度こそ野外炊事場へ向かえばいい。
その最中には きっとどこかでは会えるはずだ。
「……よし、行こう」
と、独り言としては少し大きめになってしまった声を放ち、ゆっくりと歩き出す。
……さすがに、移動を始めた女子はまだゼロだ。
階段のところまで来たけれど、男子もまだ来てはいない。
なんとなく寂しさを感じながら、階段を下りていくと……、
「お、諏訪一人? 俺も一人っ。 智樹さんに最後の最後まで拘束されててさぁ、やっとさっき開放されたんだよー」
「……っ……如月くんっ」
……私とは反対に、階段を上ってきた如月くん。
ちょうど手伝いを終えて、部屋に戻るところだったみたい。
いつもと同じ明るい笑顔を見て、心の底からホッとする。
「……会えてよかった……」
「お、どしたどした。 そんなに俺と会えて嬉しかった? さてはドッジボールの試合中に俺のカッコ良さに気づいて惚れたな?」
「ううん全然 惚れてない」
「アハハ、ソッコーで否定かよー」
いつもと同じような、なんでもないやり取りでお互いに笑い合う。
そのあとに、深く深く息を吐き出した。
「……でも、如月くんに会えてよかった。 それは本当だよ」
「そっか。 んー……とりあえず、一緒に居た方が良さげな感じだな。 どっかで少し話そうか」
「あ……ごめん、如月くんは部屋に戻るところだったよね。 えっと、私は一人で大丈夫だから……──」
「大丈夫って顔じゃないくせに無理すんなって。 ほら、行こうぜ」
「──……え、あ、うん……。私、そんなに変な顔してた……?」
「メチャクチャ不安そうな顔してる。 “何か”あったんだろ?」
「……うん」
……自覚はなかったけど、私…かなり不安そうな顔をしてたらしい。



