やっぱりほとんどの生徒は部屋に戻ってるみたいで、廊下でお喋りをしてるのは数人だけ。
その代わりに、どこの部屋からも楽しげな声が漏れ聞こえている。
私が割り振られてる部屋でも、それぞれ思い思いの会話を楽しんでいるみたい。
それをBGM代わりに、私は一人の時間を楽しもう。 と思ったんだけど……、
「あ、諏訪さん やっと来たっ」
……同じ部屋の女の子たちが、ドドドッと一気に私の近くに来た。
スマホをカバンから取る余裕もなく、ギュウギュウ詰めの状態だ。
「諏訪さんって倉本くんとは結局どういう関係なのっ?」
「やっぱり好きっ?」
「諏訪さんの片思い状態? それとも両思いだけど内緒で付き合ってたりするっ?」
……あ、そういう話題か……。
この部屋に過激派の人は居ないっぽいけど、倉本くんのファンではあるみたい。
ううん、ファン…というか、純粋に私たちの関係性を知りたがってるっぽい?
もちろんファンの子も居るには居るけれど、どっちかと言えばみんな ただただ恋バナが好き、って感じに見える。
「えっと…恋愛感情は全然ないよ。 良い仲間としての好意は持ってるけどね」
「えー喋ってる時にドキドキしたりとかないのっ?」
「ないない。 そういうのほんっと何もない。 倉本くんも私と同じだと思うよ」
「でも、結構二人で喋ってる時とかあるじゃん? それって「同好会の仲間だから」って気持ちだけ?」
「あー、うん、まさにそれ。 倉本くんと二人で喋ってる時の話題はほとんど心霊系のことだよ。 例えば、この宿泊施設って結構いろんな噂があるでしょ? 私も倉本くんも写真にいっぱい撮るって決めてる…というか、先輩に撮るよう頼まれてるんだよね。 だから「私はこっち撮るから倉本くんはあっちをお願い」って言ったりしてるの。 学校でも同じようなことを話してるだけだよ」
実際、倉本くんと二人で話す時は心霊系のことばかりだ。
まぁ正確に言えば「サイトの最新記事 読んだ?」「ジェイド様は今回もマジでクールでカッコイイ」って感じで、ほぼほぼ桜井先輩絡みの話題なんだけどね。



