「寝る部屋…には行ってないよね。 そこに行くならあの階段を上らないとだし、二人はそのまま真っ直ぐに廊下を進んでいって……向こうのドアから出ていった…っけ?」
「うん、そのまま真っ直ぐ行ったよ。 あっちは確か、自習室みたいなのがあったと思う」
「ありがとう。 一瞬記憶が飛んでたから助かるよ」
深呼吸をしたあとに、龍泉寺くんはまた私を真っ直ぐに見た。
「……本当に、ありがとう」
「ううん。 私、絶対お節介なことしちゃったし……ごめんね」
「そんなことないよ。 ……あぁそうだ、蒼葉が急いで部屋に戻った理由だけ伝えとく。 これまでの出来事を同好会の先輩に連絡しておくんだって。 本当は電話で話したいけど学校ではまだ授業があるだろうからメッセを送る、って言ってたよ」
「そっか。 じゃあ私からは先輩に伝えなくても大丈夫そうだね。 教えてくれてありがとう」
「どういたしまして。 じゃあ俺、行くね」
とても丁寧に話をしたあと、龍泉寺くんは穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんが向かった方向へと駆け出していった。
……さて。
私はこれからどうしようかな。
本当は私も穂乃果ちゃんのことを追いかけたかったけど、今は沙綾ちゃんと龍泉寺くんに任せよう。
倉本くんのところに行く…のはやめておいた方がいいかも。
男子たちの部屋に一人で行くっていうのがまず無理だし、仮に二人で話せる状態になれたとしても、それをうっかりファンの子たちに見られたら怖いからね……。
部屋に行けばスマホがあるから、一旦戻ろうかな?
先輩たちへの連絡は倉本くんがしてくれるからいいけど、逆に何か先輩たちからメッセが届いてるかもしれないし。
スマホを使っていい貴重な休憩時間だから、やっぱり少しは見ておきたいもんね。
「よし、私も戻ろう」
と、誰に言うでもなく言ってから、階段を上っていく。



