「……あぁもうっ、待ってよ穂乃果っ!! 二人ともごめんっ、私ももう行くからっ!!」
と言い切るかどうかの前に、沙綾ちゃんも駆け出していった。
この場に残されたのは、私と龍泉寺くんのただ二人。
……これは、どうすればいいんだろう……。
「あの…龍泉寺くん。 えっと……なんていうか……」
「……」
「……私が言っちゃっていいのか、わかんないけどさ。 穂乃果ちゃんの言葉は、お世辞とかそういうのじゃない…よ?」
って、これ言っちゃまずかったかなっ……!?
だってそれってつまり、「お世辞じゃない イコール 穂乃果ちゃんは龍泉寺くんのことをマジでカッコイイと思ってるし好きって思ってる」ってことだもん。
私が勝手に言っちゃダメだったかもっ……!!
「……ごめんっ、お節介だった!! ていうか私が思ってることを勝手に言っただけだから、あんまり気にしないでっ……!!」
と言葉を繋げながら、慌てて龍泉寺くんの顔を見ると……、
「いや……謝る必要なんて、全然……。 あー……えっと、うん……こっちこそ、なんか…ごめん……」
……龍泉寺くんは、顔だけじゃなくて耳まで真っ赤にしながら、視線をあちらこちらへと泳がせていた。
いつもの落ち着いた雰囲気の彼とは全く違い、凄く動揺しているみたい。
でも……嫌そうな顔はしていない。
今はとにかく恥ずかしそうで、その表情を隠すかのように右手で口元を覆っている。
「……俺も、桐生さんを追いかけるよ。 追いつけるかはわかんないし、追いつけたところで何を話せばいいかもわかんないけど……」
顔は相変わらず真っ赤だけど、それでも少しは落ち着いた…かな?
ちゃんと真っ直ぐに私を見ているし、いつもと同じような冷静な声だ。



