イラついた様子で言う沙綾ちゃんと、彼女たちの対応にドン引き中の穂乃果ちゃん。
そんな二人に声をかけたのは、相変わらず苦笑気味に笑っている龍泉寺くんだった。
「言いたいことはわかるけど、トラブルを引き起こすような言動はなるべく控えてね?」
「でもさぁ、如月くんの頑張りが全部無かったことみたいに扱われるのはムカつくじゃん。 そりゃあ、あの子たちに直接文句を言ったりはしないけどー」
「まぁ実際 俺も、ちょっと嫌な気分になったけどね。 蒼葉と喋ってる途中だったのに急に割り込まれて、その後は俺の存在自体が見えてないような扱いだったし」
「……それ、龍泉寺くんはもっと怒っていいと思うよ?」
「馬鹿のために無駄なエネルギーは使いたくないし、何よりも面倒臭い」
……声自体は穏やかなのに、言ってることには刺がある。
ちょっと嫌な気分になったって言ってたけど、実際はかなり不快だったんだろうな……。
どうやら龍泉寺くんは、静かに怒るタイプみたいだ。
直接的に怒りを出す人よりも、こういう人の方が案外怖いんだよね……。
ていうか穂乃果ちゃん、大丈夫かな?
龍泉寺くんのこういう黒い部分を見て、恋愛感情が一気に消失してたりして……?
と思ったけれど、
「……龍泉寺くんカッコイイ……メッチャ好き……」
……すぐ近くに龍泉寺くんが居るのに、心の声がダダ漏れだ。
どうやら穂乃果ちゃんは、彼のドス黒い部分を見て引くのではなくて、心底 惹かれているみたい。
「ちょ、ちょっと穂乃果っ?」
「……ハッ。 わ、私ってば今 何か言った!? 言ったよねっ!? ご、ごめんなさい〜〜〜っ……!!」
ボンッと顔が一気に赤くなった穂乃果ちゃんは、その顔を覆いながらピューっと走り去っていった。
メッチャ早いっ……!!



