「……ほんっとに君らは、良い仲間だなぁ」
と言った智樹さんがどこか楽しそうに笑う。
「如月くん、あんまり無理はするなよー?」
「大丈夫ですっ、もうなんか吹っ切れたんでっ」
「そっか。 怪我のないようになー」
「はいっ!!」
元気いっぱいに飛び出していった如月くんを見て、班のメンバーがそれぞれに笑う。
そしてそのあとに、それぞれが智樹さんへと視線を向けた。
「智樹さん。 さっき言ってた女性のこと…すみませんが、よろしくお願いします」
「ん。 ゲーム中に悪さしねぇように見とくから、集中して頑張ってな」
「はい」
礼儀正しい龍泉寺くんが頭を下げたあとに、穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんも声をかける。
「あのっ…智樹さんも無理しないでくださいねっ。 キツくなったらすぐ言ってくださいよっ?」
「本気でヤバい時はさっき聞いた作戦通りにってことで間違いないですよね? 私たち、智樹さんに従って動きますからっ」
智樹さんを心配しながら。
でも信用もしながら。
決意のこもった二人に真っ直ぐ見つめられ、智樹さんはタジタジだ。
「わかったわかった、無理はしないから心配すんな。 それと作戦に変更はないから、その時は手筈通りにっつーことで。 ほらもう行け。 このままじゃ君ら二人が俺を巡って争ってるかのように見えるぞ? むしろ生徒に手ぇ出してるなんて噂されたら俺が社会的に死ぬからやめてくれ」
シッシッと虫か何かを追い払うような動作をしながら、視線だけを私に向ける。
「ほら、諏訪ちゃんも。 あの女のことは気にしなくていいから試合頑張れよ」
「はい。 でもほんと、無茶はダメですからね?」
「わかったわかった。 大丈夫だから信用してくれ」
「信用してるからこそ心配なんですけどね。 でも……はい、ちゃんと信じながら、試合頑張ってきますねっ」
と言ったあと、穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんの背中を押して智樹さんから離れる。
さすがにこれ以上騒ぐと周りからの視線が集まりそうだから、離れた方がよさそうだ。
そういった空気を察した龍泉寺くんも加わり、まだ何か言いたそうだった穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんを智樹さんから完全に引き離した。



