「穂乃果、あんまり大きな声で喋んないのっ。 気づかれちゃうでしょっ」
「えー大丈夫だよ、みんな試合に熱中してるしー。 そう言ってる沙綾の方が大きい声だよ?」
「……まったくもう。 他の人にポロッと言わないように気をつけなよ?」
「うん、わかってるわかってるー」
もう一度ため息をついた沙綾ちゃんが、再び私に視線を向ける。
「えーっと、で、芽衣子は幽霊が見える人、ってことでいいんだよね?」
「あ……う、うん……そうなります……」
「そっか。 見ての通り 私も穂乃果もそういうの全然平気だからさ、そんな深刻そうな顔しないでよ。 メッチャ泣きそうな顔されたら、なんか私が虐めてるみたいじゃん」
いつもと同じ笑顔……。
それを私に向ける沙綾ちゃんが、そっと私の手を握りしめた。
「芽衣子にとったらあんまり言いたくないことだったかもしれないけど、教えてくれてありがとう」
「……ううん、こっちこそ……受け入れてくれてありがとう」
「どういたしましてっ。 あーもうほら、泣いちゃダメだよっ? これから試合あるんだから、如月くんに続いて芽衣子まで戦闘不能になったら困るんだからねっ」
「ふふっ……うん、そうだね。 大丈夫、ちゃんと試合に出るよ」
嬉しくて、涙が溢れそうになるけれど。
でもそれをグッと我慢しながら笑みを浮かべる。
そのあと、倉本くんたちの方へと視線を向けた。
「……あのね、倉本くんは私の力のこと知ってるんだ」
「あーなんかアイコンタクト取ってる時が多いもんね。 最初は内緒の恋愛してるのかと思ってたけど、全然そんな雰囲気なかったから むしろこっちだったことに納得しちゃったよ」
「え……そんなにわかりやすい感じだった?」
「そりゃあ一緒の班だし、近いところで見てりゃね。 他の班の子にはバレてないと思うから多分大丈夫だよ」
……バレないようにしてたつもりだったのに、しっかりバレてたみたい。
というか、沙綾ちゃんが異様に鋭いのかも。
「ねぇねぇ、龍泉寺くんと如月くんは知らないんだよね? あの二人にも伝えるのはダメかな??」