家族は味方してくれてるけど、私と同じモノは見えていない。
だからきっと……戸惑うことも多いと思う。
そして私自身、そんな家族を見て卑屈に考えてしまうことも多い。
お父さんとお母さんは、私が一人で遠くの町に行ったことにホッとしてるんじゃないか? って。
おじいちゃんとおばあちゃんは、厄介者を背負い込んで迷惑してるんじゃないか? って。
知らない町に来て、「普通」に過ごすようになっても……相変わらず私は「幽霊が見える人間」のままだ。
それを他人に知られるのは怖いし、知られたあとも怖い。
結局また小中学校の時の繰り返しになるんじゃないか? って、いつまでもビクビク怯えてる。
私は大人になったあとも ずっとそれを繰り返すの? って。
でも、だからって「幽霊が見える」と大手を振って言うことは出来ない。
言ったらまた同じことを繰り返す、ってわかっているから。
結局は自分が辛い立場になるだけだ。って、わかってる。
だけどそれでも……誰かと本音で話す時間が欲しい……。
「……私は私を認めてくれる人と一緒に居たいです。 私が見てるモノを もうこれ以上 否定されたくありません」
言葉がグチャグチャで、全然まとまらない。
伝えたいことがちゃんと伝わってるのかもわからない。
わからないけれど……、
「否定しないよ」
……力強い言葉が、真っ直ぐに向けられた。
「世界中の人 全員が否定しても、俺は否定しないよ」
神代先輩に視線を向けると、真っ直ぐに私を見ていることに気がつく。
真っ直ぐに……すべてを受け止めてくれている。



