「……なぁあの人、最初に変なこと言ってなかったか……?」
スタッフさんを目で追いかけながら、如月くんがポツリと言う。
それに対し、沙綾ちゃんと穂乃果ちゃんも声を潜めながら話し出した。
「危うい感じ…って言ってたよね」
「うん……そう言ってたと思う」
「しかも「君ら」だよ? 私たちが危うい感じって、なに? どういう意味?」
「わかんない……」
……あの時スタッフさんは確かに言った。
君ら、危うい感じだなぁ。 って。
それはまるで、私たちの置かれた現状すべてを見透かしているかのような……。
「……もしかして、“何か”を感じた…とか?」
“何か”。
如月くんは言葉を濁したけど、でもここに居るみんなには通じている。
幽霊のことを話していた時にあんな風に言われたら、ソレを結びつけないわけがない。
あの人には霊感的な何かがあって、龍泉寺くんに憑いているだろう“何か”を見た上で「危うい感じ」と言った。
そして一緒に行動する班のメンバーにも影響が出る可能性があるから「君ら」とも言った。
……と、そう結論づけるだろう。
そしてそれは本当にその通りなんだと思う。
あのスタッフさんは、確実に幽霊が見えている。
どの程度の濃さで見えてるかはわらからないけれど……それでも絶対だ。
だって、そうじゃなきゃ ありえないことをしていったから。
……龍泉寺くんの肩を叩いた時、彼は一瞬だけ幽霊の方へと視線を向けていた。
本当に一瞬。
ソコに幽霊が居ると知ってる私だからこそ気づけた。 というくらいの、まさに瞬きを一回するだけの僅かな時間。
でも幽霊にとってはその一瞬で十分で……龍泉寺くんと会話してる時には、既に幽霊は移動していた。
私が自分に幽霊を引きつけようとしたのと同じことを、一足先に彼がやったのだ。
うっかり目を合わせたとかではなく。
しっかりと自分の意思で、幽霊を自分に引きつけていた。
ごくごく普通に、当たり前のように。



