……もしも幽霊が龍泉寺くん自身に憑いていたら、私がいくら目を合わせても無理だ。
むしろ目を合わせたことによって敵と認識されてしまうかも……。
そうなった場合はもうどうしようもなくて、事故が起きたり、怪我をしたり……災いとして降りかかるかもしれない。
その時はその時で、仕方ないと諦める他はない…かな。
でもプレイホールに行った龍泉寺くんにたまたま引き寄せられて憑いたという状態なら、私が代わりに引き受けることが出来るはず。
引き受けたあと、どの程度 体に負担がかかるかはわからないけど……それでも龍泉寺くんを助けたい。
困ってる龍泉寺くんを放っておくことなんて、出来ない。
「……」
意を決して、幽霊を見ようと顔を上げた時──、
「君ら、危うい感じだなぁ」
──テーブルの端のところから、聞き慣れない声がした。
明るい茶髪がふわりと揺れ、両耳についてるピアスが光に反射してキラリと輝く。
生徒ではない。
施設のスタッフさんだ。
その人は私たちに笑顔を見せたあと、龍泉寺くんの肩をポンポンと叩いた。
「えっと……あの……?」
「君、班のリーダーだよね? 夜の散策のスタートする順番の抽選を今することになったから、このクジ引いてくれる?」
「……あ、はいっ」
にこやかに笑うスタッフさんの傍らには、クジ引き会場でよくみるタイプの箱がある。
龍泉寺くんは突然のことに困惑の表情だったけど、それでも素直にクジを引いた。
「昼食が終わったら担任の先生にその番号を伝えること。 で、その紙は夜の散策の時まで持っといてね」
「わかりました」
「じゃ、ごゆっくりー」
ひらひらと手を振ったあと、スタッフさんは箱を持って隣のテーブルに歩いていった。



