食堂にはたくさんの人が集まってきているけれど、それぞれみんな自分の班の人と楽しそうに会話をしているみたい。
ガヤガヤと騒がしいから、私たちの会話を聞いてた人は居ない…と思う。
「……先生は体調不良の心配はしてくれるだろうけど、その原因はコレですって言っても信じないだろうね。 で、みんなに言っても茶化されて終わりだと思う」
ハァ、と息を吐いた倉本くんが、ポケットからお守りを取り出した。
「この話は、とりあえず俺たちの中だけで留めておこう。 透はこれ持っといて」
「お守り……蒼葉の物なのに、俺が持ってていいの?」
「うん、部屋に行ったらまだ他にもあるし、今は透が持ってた方がいいと思う。 まぁ、気休め程度だから過信はしないでね」
「ううん、ありがとう。 助かるよ」
とても穏やかに笑う龍泉寺くんを見て、倉本くんも笑う。
けれども、そのあと私に視線を向けた時は……不安そうな顔だった。
彼が言いたいことはわかる。
龍泉寺くんがお守りを持ったことで、現状が変わったかどうかを知りたがっているんだ。
幽霊が見えるという体質の私に「どうなった?」と問いかけている顔。
だから私は、周りにわからないように微かに首を横に振った。
変化はない。 と伝えるために。
幽霊は相変わず龍泉寺くんに憑いている。
少しも変わらずに……龍泉寺くんの後ろで、その両腕を首に絡ませながら。
お守りを持っているのに幽霊は離れない。
そうなってくると、他のお守りをすべて渡したとしても離れるかどうか微妙な気がする……。
どうしよう。
しばらくすれば自然と離れる?
それともずっと憑いたまま?
……私が彼女と目を合わせれば、私の方に来るかな?
そうすれば龍泉寺くんの体調は改善する…よね。
空き教室に初めて行った時みたいに……幽霊と目を合わせてしまった私を郁也先輩が助けてくれた時のように、今度は私が龍泉寺くんを……。



