二人ともすぐにこっちに気づき、迷うことなく真っ直ぐに歩いてくる……のは いいんだけど……。
「……うわ……」
と、思わず声が漏れてしまう。
その声が隣に居た沙綾ちゃんには聞こえたらしく、きょとんとした顔で私の方を見てきた。
「芽衣子? どしたの?」
「……ううん、なんでもないっ」
「そう? だったらいいけどー」
沙綾ちゃん…恋愛話じゃなくても地獄耳だなぁ……。
と思うことで必死に気持ちを落ち着かせて、静かに静かに息を吐く。
大丈夫。
落ち着いて。
“彼女”と目を合わせなければ、大丈夫……。
「みんな早いね」
と微笑む龍泉寺くんの背後に、女性の幽霊が居る。
バックハグ…というやつだろうか?
龍泉寺くんの首元に自分の両腕を絡ませながら、じっとりと重い雰囲気を纏いながらそこに居る。
きっと、施設内のどこかで連れてきちゃったんだと思う。
倉本くんと一緒に居たのなら、プレイホールで?
それとも、もっと別の場所……?
私の体質を知ってる倉本くんにこのことを伝えたいけど、さすがにこの場所では言えない。
みんなが居る場所で言うことは……出来ない。
龍泉寺くんは平気そうな顔をしてるけど、あんな風にしがみつかれてたら……多分、かなりキツいと思う。
頭痛とか、めまいとか、吐き気……そういった類のものをきっと必死に我慢してるんじゃないかな。
龍泉寺くんは班のリーダーだし、気遣いの鬼と言ってもいいくらいに周りを気遣える人だ。
だから今は、周りに心配をかけないように「いつも通り」の笑顔を見せている。
私や倉本くんが持ってるお守りを渡せば幽霊は離れるかな?
それとも、その状態でもしがみつく?
やってみないとわからないけれど、でもお守りじゃ太刀打ち出来ないくらいに強い幽霊だったら、どうすれば……──、
「あ、あのっ……龍泉寺くんっ」
──と、顔を赤らめた穂乃果ちゃんが龍泉寺くんを真っ直ぐに見た。



