「さっちゃんも彼氏いるのかって男子の間で噂になってるんだけどね」
「それは黙っておきましょう」
「そうだね」

「えっやばいかな…?このリストバンド、蒼永のだってバレたら盗まれる…?」
「盗まれるかなぁ…」
「私なら九竜のリストバンドって売り捌くわね」
「えーー!!」
「桃!またさっちゃんからかって」
「これくらいは許されて欲しいわ」


このリストバンド、そんなに価値あるものなの…!?やばい、絶対バレないようにしないと…!!


「大丈夫だよ、さっちゃん。気にしないで。
そろそろ出番だから行くね」
「あっ、大志くん借り人競争だっけ?蒼永も出るんだった!」
「そう、行ってくるね」
「行ってらっしゃい。借りられる準備はしておくわ」
「よろしくね!」


借りられる準備とは?と思いながら大志くんを見守る。
一旦リストバンドのことはさておき、借り人競争に集中しよう。

レースがスタートする。
お題を引いて、そのお題に書かれた人と一緒にゴールする、体育祭の定番種目だ。

大志くんはスタートしてお題を引くと、真っ直ぐ桃ちゃんの方へ走ってきた。


「桃!メガネをかけた女子だった!」
「OK!」


桃ちゃんはメガネを取り出し、瞬時にメガネ女子に変身する。二人はそのまま手を繋いでゴール!圧倒的速さで1着だ。

なるほど、桃ちゃんがやたら荷物多かったのはそういうことか…反則スレスレな気もするけど。