ああ、ほんとに…自分勝手すぎて嫌になる。
私ってこんなにずるい人間だったんだ。


「ずっとヤキモチ妬いてたの…紫帆ちゃんのこと心配しながら、本当はヤキモチ妬いてた…。
だって、蒼永は私の許嫁なのに…」


気づいたらボロボロ涙がこぼれていた。
呆れるかな?私だって自分にこんなドロドロした部分があるなんて知らなかった。

私は蒼永の許嫁として相応しくないのかもしれない…。
でも、今更誰にも渡したくない。

それでも私は…蒼永のことが好きだから……。


「好きだよ」
「蒼永…」
「俺が好きなのは咲玖だけだから…」
「…っ、私も……」


強く優しく抱きしめられて、その背中に手を回す。


「蒼永が好き…っ」


好き、大好き。
想いが溢れ出るのと同時に涙も、もっと溢れ出る。

恋をして知った。
どうしようなく嫉妬してしまうことも、気持ちが通じ合えた時心から幸せなんだということも。

蒼永に恋して、初めて知った。

頬に手が触れ、視線が絡み合い、何かを呟いた気がした次の瞬間――、
甘くて優しいキスをした。

心臓が飛び出るくらいドキドキしたけど、また涙が出そうなくらい嬉しくて幸せだった。

――蒼永、大好き。

私たちは許嫁で、恋人になった。