私のことを待っていてくれた時は、ものすごく嬉しかった。
久々に一緒に帰れるなんて…!

思わず顔がにやけてしまう。
抱きしめられた時は、心臓の音がうるさすぎて聞こえてしまうんじゃないかと思った。

恥ずかしいけど…蒼永に触れられるのが嬉しくてたまらない。
今日なら、告白できるかな…?

そう思っていたら。


「天野!?今どこにいる!?」


切羽詰まった蒼永の声。私は思わず叫んでいた。


「行って蒼永!」
「咲玖」
「早く行かないと!!」
「っ、ごめん!」


本当は行って欲しくないのに。
やっと一緒に帰れると思ったのに。

血相を変えて走る蒼永の後ろ姿を見ていたら、涙が溢れてきた。
嫉妬してばかりの自分が嫌になる。
違うでしょ?今は紫帆ちゃんの心配をすべきでしょ?

ストーカーなんているから…っ。

そう思ったら、勝手に足が動いていた。
蒼永の足に追いつけるわけもないのに、必死に後を追いかけた。

あんなに闇雲に走っていたのに、蒼永の元に辿り着けたのは奇跡だと思う。


「あなたこそ、紫帆ちゃんの何なのよ!!」


自分勝手な気持ちを押し付け、紫帆ちゃんを傷つけて泣かせるその人に心底腹が立った。


「本当に好きな人なら、怖がらせるようなことしないでしょう!!」


紫帆ちゃんのためを思って言っているけど、本音は自分のためでもある。
だって、あなたが紫帆ちゃんを怖がらせるようなことしなければ、蒼永は私の傍にいてくれるんだから。