紫帆ちゃんがストーカーに悩まされていると聞いた時、とても心配だと思った。
紫帆ちゃんの身に危険が及ぶなんて、考えたくもない。

蒼永がついていてくれたら心強いし、安心だと思う。
この気持ちに嘘はない。


でも…、本音は嫌だった。
好きだと自覚してしまったら、どうしようもなく嫉妬してしまう。

だけど、そんなことは言えないし、蒼永が純粋に心配してることもわかってる。
昔からそうなの、目の前で困っている人がいたら放っておけないんだ。

ましてや友達が危険な目に遭うかもしれないと思って、黙って見ていられないこともわかってる。
他人に興味がなさそうなのに、こういう時はじっとしていられない性格なの。

私は蒼永のそういうところも大好きだから、わがままなんて言えない。
寂しいなんて、言えないよ…。


桃ちゃんには「ライバルかもしれない相手のところに行かせるなんて、何考えてるの?」って言われたけど、こればっかりは私が我慢するしかない。

紫帆ちゃんを助けるためにも…これが最善策だと思うから。


「でも、やっぱりさみしいよ…」


やっと好きだって気づいたのに。
ちゃんと告白したかったのに。

こんな状況じゃ告るなんて無理だし…。