部活終わり(今日は空手)にスマホを見たら、咲玖から春日井の家に行くというメッセージが入っていた。
何となく直感でこのまま泊まるんだろうなと思った。
昨日の今日だし、ずっとソワソワしてる感じだったし。
まあ少しでも意識してくれてるなら嬉しいんだけど。
そういえば、そろそろトイレットペーパーが切れそうだったような…買い物して帰るか。
最寄りのスーパーに向かう道中、聞き覚えのある声が聞こえた。
「だからっ、付きまとうのはやめて!!」
この声は…天野?
近くの公園を見たら、天野が誰かと話しているようだ。相手は男っぽいけど顔は見えない。
「どうして?運命だって言ってくれたじゃないか」
「そんなこと言ってない!ただ、久々に会えて良かったねって…」
「だからそれ、僕に会えて嬉しかったってことでしょ?」
「そうだけど…」
「僕もだよ…つまり僕たち運命だよね?」
なんかよくわからないけど、天野が困ってるのは一目瞭然だし、何となくヤバい気配を感じる。
「ねぇ、僕たち付き合おうよ…」
「ちょっと、やめて…」
天野に向かって伸ばされた手を、咄嗟に割り込んで掴み上げる。
「やめろよ」
「リュウ…!?」
「なっ、なんだお前」
「嫌がってるだろ」
軽く捻っただけで相手の男は悲鳴をあげ、手を離すと逃げ出していった。
念のため言っとくけど、俺的には全然力入れてないから。
「大丈夫?」
「あ、ありがとう…」