騒ぐギャラリーに向かってはっきりと、でも丁寧に注意した時のことを話した。
堂々としてて、すごくカッコよかったって。


「ああ、あれ?だってリュウ、心底不機嫌そうだったんだもん」
「!」
「実際うるさかったしねー。リュウがキレる前に言った方がいいと思って。中学の時も似たようなことあったからさ」
「……中学でも蒼永、モテてたの?」
「あっごめん!でも安心して!告白という告白全部断ってたから!」


やっぱりモテてたんだ……。
また胸の中がモヤモヤする。


「毎回許嫁がいるからって断ってて、でも誰も見たことないから段々ヤバい奴だと思われてたし!」


……それは、どうなんだろう??


「あたしが言っても絶対見せようとしなかったんだから。かわいすぎて本当に嫌だったんだね」
「……っ」
「……いいなぁ」
「え?」
「ううん、なんでもない!咲玖ちゃん、LIME教えて。また一緒に遊びたいな」
「うん!私も!」


紫帆ちゃんは明るくて優しい子。
蒼永が言うように、誰に対しても壁を作らない。
私にはそんな紫帆ちゃんの方がずっと魅力的に思える。
仲良くなれるのもすごく嬉しい。

今日も一緒に遊べてすごく楽しかった。
ますますいい子なんだってわかった。

それなのに何故か…、胸の奥に棘みたいなものが刺さってる。