「咲玖ちゃんって近くで見れば見るほどかわいいね」
「そんなことないよ…!」
「リュウがゾッコンの理由がわかったわ〜」
「……、紫帆ちゃんは蒼永と仲良いんだね」
「そう見える?リュウはいっつも塩対応だけどね」


私にはそうは見えなかった。
紫帆ちゃんには心を許してるような気がする…。


「あたしの親、転勤族でさ。昔から転校ばっかで嫌になって、中学では寮に入ったんだよね。
同じ部活でリュウも寮生でしょ?しかも地方留学って聞いたから興味持って、あたしからグイグイ話しかけたんだ」
「蒼永にちょっと聞いたよ」
「あ、ほんと?結局親が海外転勤になっちゃって、一人だけ日本に残すのは心配だ〜ってまた転校させられちゃったんだけどね」
「大変だね」
「もう慣れたよ!やっと腰落ち着けられたって感じ!」


蒼永が言ってたように、本当に裏表がなく素直に話してくれるんだなぁ。
私みたいなほぼ初対面の相手にまで。


「ところで咲玖ちゃんって、リュウの許嫁なんでしょ?」
「え?うん、一応…」
「それマジなの?リュウから聞いてはいたけど、半分冗談だと思ってたんだよね!」


ああ、確かに今時許嫁って冗談みたいな話だもんね…。
私は許嫁になった理由を簡単に説明した。