だって、生まれた時から一緒にいるんだよ?
家族ぐるみで仲が良く、早くも親戚みたいに二家族が三代で集まるから、私にとって蒼永は兄妹みたいな存在なんだよね。

いや、一応私の方が誕生日遅いけど、どちらかといえば弟みたいな感じかな。
蒼永は無口で大人しく、あんまり自己主張しないタイプだ。
そんな蒼永を私がよく面倒見てた(と思ってる)。

だから、蒼永に恋とかはしてない。
彼氏でもない。でも婚約はしてるので、ああいう告白はお断りさせてもらってる。


「……あんたたちって、本当にそれでいいの?」


ジト目で尋ねてくるのは、小学校から一緒の親友・春日井(かすがい)桃乃(ももの)
クールでしっかり者の美人さんだ。


「なにが?」
「咲玖と九竜!枯れすぎなのよ!許嫁なのに兄妹って何!?」
「だって、ほぼ毎日一緒にいたしお互いの家にもしょっちゅう行き来してたし。既に家族みたいなんだもん」
「でも許嫁でしょ!?結婚するんでしょ!」
「多分……?」
「多分って何!!」


いやまあ、結婚はするんだと思うけど……。
正直あんまりピンときてないのが本音なんだよね。


「まあ、まだ高校生だしね。それより桃ちゃん見て〜、新しいアイシャドウパレット買ったんだ!かわいくない?」
「かわいいけど……あんたってほんとのんきね」