すごいな、紫帆ちゃん。カッコイイ。
みんなが思ってるけど言いづらいことなのに、あんなに堂々として。


「ありがと天野」
「なんかリュウがモテてて生意気!」


…蒼永が友達になるのもわかるなぁ。


「なーにあの子?九竜と仲良さそうだけど?」
「中学の友達だったんだって」
「ふーん」
「私もさっき喋ったけど、すごくいい子だったよ」


なのに、なんでか胸がチクっとするな…。


「浮気じゃないの?」
「蒼永くんに限ってあり得ないよ」
「そうだけど、珍しいじゃない。昔から咲玖以外に興味ない男なのに」
「まあ、確かにそうだね。でも大丈夫だよ。ねっ、さっちゃん」
「う、うん…」


なんか慰められてるような気がするのは気のせいかな?

そんな会話をしていたら、あっという間に蒼永の出番になった。
初戦は華麗な一本で勝利。二戦目も圧勝。
トントン拍子で決勝に進んだ。
やっぱり決勝戦の相手は都内ベスト4のエース選手だった。蒼永よりもガタイが良く、見るからに強そう。

ここまでずっと快勝だったけど、決勝はそうはいかない。お互い一歩も譲らない戦いだ。

頑張って、蒼永…!


胸の前でぎゅっと手を握りしめ、祈る気持ちで見守る。