「蒼永!おはよう!朝ごはんできてるよ」
「ありがとう…目玉焼き焦がした?」
「ちょっとだけね!!」


蒼永と一緒に暮らし始めて1ヶ月。
私は調理部と生徒会どっちも入ることに決めた。
調理部は週2の活動と比較的ゆるい部活だし、生徒会もほとんど雑用だから私にもできそうなので、どっちもやってみることにした。

バイトもしてみたかったけど、とりあえずいっか。
また蒼永の過保護が発揮されそうだし。

朝ごはんは交代制で作ってる。
私は今日みたいに焦がしたりとか、まだまだだけど蒼永はいつも上手い。
負けないように調理部で腕を磨くんだ!

そんな感じで楽しく毎日を過ごしてる。
松川さんはあれ以来おとなしいみたい。
あの後、桃ちゃんに聞いたんだけど。


「松川茜ってやたらとS組であることを鼻にかけるし、ハイスペのS組男子ばっかり目をつけるのよね。確か元カレはS組の2年生だったわ」


そんな彼女が次に目をつけたのが蒼永だったけど、あまりにも蒼永が靡かなかったからプライドへし折られておとなしくしてるんじゃないか、と桃ちゃんは言っていた。


「逆恨みして報復してこないといいけど、まあ大丈夫でしょう。九竜相手に下手に手出しはできないでしょうしね」
「なんて言ってるけど桃、結構心配してたんだよ。松川さんが取り巻き使ってさっちゃんに手出ししてくるんじゃないかって」
「ちょっと大志!」
「でも大丈夫、蒼永くんが絶対守ってくれるし、蒼永くんなら数人相手でも勝っちゃうよ」
「私だってそう思ってるわよ!万が一咲玖に何かあったら、って思っただけで」


私はいつものんきだけど、桃ちゃんはいつも私のことを心配してくれる。
確かに蒼永の言う通りかもしれないな。無理に友達作らなくても、桃ちゃんや大志くんがいてくれたら十分なのかもしれない。
改めて親友二人に感謝した。