「い、許嫁?」
「そう。だからあなたとは付き合えません、ごめんなさい」


そう、彼氏はいない。でも許嫁はいる。
それが私、白凪(しらなぎ)咲玖(さく)

おしゃれとかわいいものが大好きで、許嫁がいること以外は普通の高校1年生。


許嫁の名前は九竜(くりゅう)蒼永(あおと)
私と蒼永はいわゆる幼馴染で、生まれた時から許嫁だった。
蒼永の家は国内有数の武道の名門・九竜家。柔道、空手、剣道といったあらゆる武道を教える九竜道場を構えている。
道場の門下生はプロ選手やオリンピック選手も輩出しており、日本の武道界を担っているといっても過言ではないと言われる超名門。

そんな九竜道場の師範である蒼永のおじいさまと、うちのおじいちゃんは旧くからの大親友。
自分の子どもたちを結婚させるのが夢だったけど、二人とも息子だったのでその夢は孫に託された。

で、託された孫というのが、私と蒼永というわけ。
蒼永のお父さんとうちのパパも仲が良く、おじいちゃんたちに乗せられて、生まれた時から許嫁という関係を結ばれていた。

幼馴染で許嫁。漫画やドラマにありそうだと思うでしょ?
でも、実際は特に甘酸っぱい関係ではない。