「もう…」
「カッコよかったね、咲玖」
「そうかな?てか許嫁って言っちゃって良かったのかな」
「嘘じゃないからいいよ」
「桃ちゃんが許嫁って言ったらめんどくさいことになるって言ってたけど…」
「その時はその時でしょ」


もし何かあっても俺が咲玖を守るし。


「それもそうだね。ところで蒼永、」
「ん?」
「手は…いつまで繋ぐの?」


手を引いて連れ出したまま、繋がれている。
もちろん気づいていたけど、そのままにしていた。
俺は一度手を離し、するっと指を絡ませて握り直した。カップルがよくする繋ぎ方。


「!?」
「今日はこのまま帰ろうよ」
「えっ」
「許嫁なら普通でしょ」
「そっか…そうなの?」


ちょっと小首を傾げながら、そっと握り返してくれる咲玖がかわいい。
チョロすぎて心配にもなるけど。このチョロさは俺だけにして欲しい。


「咲玖、好きだよ」
「どうしたの急に!?」
「言いたくなっただけ」


早く俺のこと好きになって、俺だけの彼女になってね。