「蒼永友達できた?」
「さあ」
「作りなよ!」
「部活の奴らはそれなりに喋るよ」
「クラスは?」


クラスの奴らは…正直得意じゃない。
どいつもこいつも特待生ってプライドが高くて取っ付きにくいんだよな…。


「蒼永って中学の時は友達いたの?」
「一応一人友達みたいな奴はいたけど」
「一人だけ!?」
「多分」


なんか友達の線引きってよくわからないんだよね。
信頼出来る奴が数人いれば十分だし、大志とか春日井みたいなのがいるからそれ以上増えなくてもいいっていうか。
自分が社交的な性格じゃないのもわかってるし、無理して友達作りたいとは思ってない。

ぶっちゃけ俺は咲玖さえいればいらない。


「咲玖は部活どうするの?」
「調理部が気になってるから見学行ってみようと思ってるんだ。
あと大志くんが生徒会に入ってて、人手は欲しいって言ってたからそっちも考えてるの」


調理部は女子が多そうだし、生徒会も大志がいるなら安心か。


「どっちも上手くできるかわかんないけどね。チャレンジしてみようと思って!」
「いいんじゃない」


前向きなところも昔と変わってない。かわいい。


「じゃあね!クラスでも友達作りなよ!」
「はいはい」


…なんで普通科とS組は校舎違うんだろうな。
名残惜しく咲玖を見送りながら、重い足取りでS組の教室へ向かう。