祖父に言われて生まれた時から決められた許嫁。
でも、俺はそんなの無意味だと思ってる。

咲玖自身が望んでくれなきゃ、咲玖自身が俺と結婚したいと思ってくれないと意味がない。


「蒼永ー!この髪型変じゃない!?」
「かわいいよ」
「ありがとう!」


あんまりかわいくなると他の男たちに見られるから嫌だけど。
でもそんなことは言えない。
咲玖は好きでおしゃれしてるから。

咲玖はそのままでもかわいいけど、鏡の前で一生懸命綺麗におしゃれしてる姿もかわいい。
正直久々に再会して、目眩がするかと思った。
久しぶりに会った許嫁が、あまりにも綺麗になってて。家族がいる前で抱きしめたくなったくらいには。


「咲玖はいつもかわいいよ」
「…っ!?や、やめてよ…」


だって本当のことだから。
5年も会えなくて咲玖不足すぎて、全然足りない。

最近は俺のこと意識してくれてるのか、照れてくれるようになった。
それがまたかわいい…。

めちゃくちゃ抱きしめたいけど、あんまりやりすぎてもダメだ。
せっかく意識してくれるようになったんだから。