シュッと軽く付けてみると、フレッシュでナチュラルなウッディの香りがした。
キツすぎないし、すごくいい香りでリラックスできる。
「すごくいい匂い!」
「道場はいつも汗臭いからやだって言ったら、中学入学祝いに母さんがくれた」
「なるほど…!」
「意外と気に入ったからそのまま使い続けてたんだけど、」
「?」
急に後ろからハグされて、一気に体温が急上昇する。
「…咲玖から同じ匂いがするのいいね」
「っ!」
「たまに付ける?」
「い、いやっ、私はもらった香水使うから…!」
そんなこと言うから、蒼永の香りに包まれてるみたい…なんて考えちゃって余計に体温が上がる。
好きな人と同じ香り付けたり、選んでもらった香り付けるのって…ほんとに独占されてる気分かも――…。
「咲玖、こっち向いて」
「…あ」
頬に手を添えられ、振り向いた瞬間にキスされる。
鼻腔をくすぐる森の香りが、今の私と全く同じ香りで…近づいた瞬間に溶け合っていくみたい…。
「コラーーー!!何してんのよバカップル!!置いてくわよ!!」
桃ちゃんの怒号にハッと我に返り、勢いよく離れる。
「ちょっと目離した隙にすぐイチャつくんだから!!」
「ご、ごめん!今行きますっ!」
最後までドタバタだったけど、最高の思い出ができました。
これからもっともっと、素敵な思い出がつくれますように――。
蒼永の隣で、これからもずっと。
fin.



