クールな許嫁の甘い独り占め。



「ありがとう!すごく嬉しい!」


何より私の欲しかったものを覚えていてくれたのが、嬉しい…!


「咲玖からいい匂いがする。食べてもいい?」 

「っ!」


そんな風に至近距離で見つめられたら、嫌なんて言えないよ…。

肯定の意思表示の代わりに目を閉じる。
すぐに唇が重なり合う。

色々あったけど、蒼永とクリスマスを過ごせてよかった――…
蒼永ともっと近づけたこの日を、ずっと忘れないよ。


* * *


「咲玖っ!!」


リフトから降りたところで、桃ちゃんと大志くんが待っててくれていた。


「桃ちゃん…!」
「どこ行ってたのよ!心配したんだから…っ」


ぎゅうっと抱きしめてくれた桃ちゃんの声は、涙声だった。思わず私の目にも涙が滲む。


「ごめんね、心配かけて…っ」
「つーか咲玖、なんかいい匂いしない?」
「えっ。実は、蒼永がクリプレに香水くれたの…」
「あんたたち…、人が心配してる時にイチャイチャしてたわね!!」
「ごめんなさーい!!」

「まあまあ、無事だったからいいじゃない。
蒼永くんも怪我なくてよかったよ」
「心配かけてごめん」

「大志は甘すぎなのよ!!」
「大志くんも心配かけてごめんねっ」
「ううん、さっちゃんが無事でよかった」
「もうっ!これ以上心配かけないでよね!」


そう言ってまた抱きしめてくれる桃ちゃんが嬉しかった。