窓の外を指差した。いつの間にか雪が止んでる。
「雪が止んだ!」
「本当だ。これなら帰れるね」
「よかった!」
私たちは着替えてリフトに向かった。
視界がクリアになったおかげで迷わずに乗れた。
もう日が落ちていて、リフトの周りを明かりが照らしている。
真っ白い雪に反射した、オレンジ色の温もりが光の道をつくっていた。
「すごく綺麗!!」
「そうだね」
「そういえば、蒼永が来てくれた時ね、昔のこと思い出したんだ」
「昔?」
「ほら小学生の時、夏休みに家族で蒼永ん家の別荘に行ったことあったでしょ?」
「ああ、もしかして咲玖が迷子になったやつ?」
「そう!」
一人で森の中に彷徨い込んでしまい、帰り道がわからなくなって号泣していたら、息を切らした蒼永が見つけ出してくれた。
あの時も私の名前を呼んで抱きしめてくれた。
「あの時と同じように、私のこと見つけてくれてありがとう」
「どこにいても絶対見つけるし、駆け付けるよ」
そう言って蒼永は私の手のひらに、可愛らしい瓶に入った香水を乗せた。
「えっ!?」
「クリスマスプレゼント」
「嘘…!これ、この前私が欲しいって言ったやつ…!」
「そう。付けてみて」
一吹き手首に付けるだけで、甘いけどフレッシュな花の香りが広がる。
色とりどりのブーケに包まれたみたい。



