蒼永は優しく私の手を包み込む。
「咲玖が大事にしてくれる気持ちもわかってる。
でも、急がなくてもいいんだよ。俺たちこの先もずっと一緒にいるんだから」
「蒼永…っ」
そうだ、この薬指の指輪が約束の証。
蒼永はいつも私の気持ちに寄り添い、向き合って優しく抱きしめてくれる。
名前を呼ばれると、なんでか泣きそうになる。
手を繋いだり、何気ない会話の時間でさえ、こんなに愛おしくて幸せな気持ちになるのは――蒼永だけだよ。
この先、何年も何十年もふたりで明日を迎えたい。
ずっとずっとふたりで生きていたい。
「好きだよ、咲玖」
その告白に答える間もなく、唇を塞がれた。
体が冷えてるせいか冷たいキスなのに、心は甘くとろけるくらいに温かい。
私も好き、の想いを乗せて、今度は私から口付けた。
唇が離れてまたくっついて、いつしか舌が絡み合って深く甘いキスに夢中になる。
「…ひゃ…っ」
蒼永の唇が首元に寄せられた瞬間、思わず変な声をあげてしまった。
「…あ…」
「ごめん…」
「ううん…」
う〜〜…だめだ、気持ちとは裏腹にビクってしちゃう…。
嫌なわけじゃないのになぁ…むしろ、
「うれしいのに…」
「え?」
「あ、いやっ、何でもないの!」
「そう?」
「――あっ!見て蒼永!」



