1枚しかないなら使えないよ…!


「俺は大丈夫だから」
「だっダメだよ…!」
「いいから。咲玖が使って」


蒼永は私から離れた暖炉の近くに座る。
何となく距離を置かれたような気がした。


「…じゃあ、一緒に入ろ…?」
「いい」
「なんで?蒼永が冷えちゃうよ…っ」
「平気だから。あんまり近づかないで」


その言葉に、温かくなりかけた心がまた寒くなる。


「…やっぱり、昨日のこと怒ってるの…?」


じわりと涙が滲む。
私が悪いのに、勝手に寂しくなってる。


「ちが…っ、むしろ謝りたいと思ってて。
…昨日は、怖がらせてごめん」

「怖がってなんかないよ…っ」

「でも、嫌だったんでしょ?」

「嫌じゃないよ…ごめんね、なんてゆうかその…
見せられるようなカラダじゃないと言いますか、恥ずかしくて…っ」


今もパンダ柄がバレないように必死で隠してる。
とにかく色んな意味で見せられるようなものじゃないんです…!!


「触られてびっくりしちゃっただけなの!突き飛ばすようなことしてごめんなさいっ」
「嫌じゃないの?」
「嫌じゃないよっ!」
「…よかった、傷つけたかと思った…」


…ああ、やっぱり私は、こんなに大事に思われてるんだ。


「てか咲玖はいつもかわいいし、綺麗だと思うけど…」

「そんなことないし、全然ダメなの!
…蒼永の前では、一番かわいい私でいたいから…」