「お小遣い足りないかもなぁ。…バイトしようかなぁ」


なんてぼんやり考えながら歩いていたら。


「――いたっ」


誰かに思いきりぶつかった。


「す、すみませ…っ」
「おいおい、何してくれてんだよ。お気に入りの10万もするシャツ、汚れちゃったんだけど?」


私がぶつかった相手は大学生くらいの男性だった。
コーヒーを持っていたようで、私がぶつかった弾みで溢れてしまったみたい。


「ご、ごめんなさい…!」
「どうしてくれんの?クリーニング代払えるの?」
「え、えっと……っ」


ど、どうしよう……!
そんな高級なもののクリーニング代っていくらするんだろう…!?


「は、払えるかわかりませんけど、その…っ」
「君、高校生?高校生じゃ無理だよね。
遊んでくれるなら見逃してあげてもいいよ?」


グイッと腕を掴まれ、ゾッと寒気が走った。


「めちゃくちゃかわいいじゃん。ぶっちゃけ君、ものすごくタイプだわ」
「……っ」
「いいよね?高いクリーニング代チャラにしてあげるって言ってんだよ?
一回ヤらせてくれるだけでいいからさぁ」


こ、こわい……っ!!
たすけて――…!!


「咲玖から離れろ。」