もちろん大志たちのせいだとか思ってない。

これは完全に歯止めが効かなかった俺のせい。
咲玖を怖がらせて…傷つけた。


「大事にしたいって思ってるのに…」

「充分大事にしてると思うけどね。
それに仕方ないんじゃないかなぁ。男ってそういうものだと思うんだ」

「…大志からそんな言葉聞くと思ってなかった」

「あはは、僕も男だからね。どんなに大切にしたくても、好きな子を前にしたら…仕方ないよ」


なんか上手く言えないけど、こういう割り切り方ができるのは大志らしいと思う。


「それにね、蒼永くんが傷つけたって思ってるのと同じように、さっちゃんも蒼永くんのこと傷つけたって落ち込んでると思うよ」

「……」

「僕は二人のお互いを思い合ってるところが素敵だと思う」

「…俺は大志の、そういうところがいいと思う」

「ありがとう」


大志は嬉しそうに笑った。

大志は昔から優しかったけど、再会してからは大人になった。
相手のことをよく見ていて、ストレートだけど柔らかく包み込むような言葉を選べるところが…純粋にすごい。


「そこのお兄さんたち〜!カッコイイですね〜!」


どこから現れたのか、いつの間にか俺たちの隣にスノボで滑る知らない女子が並走していた。


「…ありゃ、やっぱり蒼永くんは目立つね」
「俺じゃなくて大志だよ」
「それはないよ」
「ある。大志の方がカッコイイよ」


俺なんかより、ずっと。